中小企業診断士試験の実務補習を担当した感想
実は私、中小企業診断士試験の実務補習を担当しています。
そこでいつも実習生に言っていたのは「企業の悪い点だけを指摘した診断書は評価しない」ということでした。
医者の診察であれば「悪いところを見つける」ことが重要視されるでしょう。もちろん、診断にもこの要素は大切です。
しかし、「悪いところを指摘すること=診断」なの?というとそうではありません。
例えば料理の質はそんなに悪くないのに、お客様が全然入らない居酒屋があったとします。
そのようなお店の悪いところをイメージすると「サービスが悪い」「店内がきたない」「価格が高い」「提供スピードが遅い」「量が少ない」など、たくさんの項目が考えられるでしょう。
では、そのような項目を単に改善すればお客様は増えるのでしょうか。
ここで皆さんがよく行く居酒屋や繁盛している居酒屋をイメージしてみてください。
主人の口調が悪くとも行ってしまうお店があるでしょう。店内が小汚いけども行ってしまうお店があるかもしれません。
価格が高くとも提供スピードが遅くとも、でも行きたいお店もあると思います。
そう、行きたくなるお店は「何らかの強み」があるお店なのです。
つまり、「弱みを克服する」ことよりも「強みを最大限に活かす」ほうが効果的な場合があることから、「悪い点だけを指摘した診断は評価しないからね」と実習生にはアドバイスしています。
これは実務補修だけではなく、実際のコンサルテーションにおいても大切な要素なので、診断士になる方はぜひ意識してください。
(ただし、弱いところを改善する方が優先されるケースもあります。その場合においても、その企業の「強み」を把握して活かすという戦略を同時に考えることが求められます。)
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